「ちゃんと寝たはずなのに、朝起きても疲れが取れない…」
「布団に入ってもなかなか寝付けなくて、気づいたら2時間経ってる」
こんな経験、ありませんか?実は、睡眠時間よりも「睡眠の質」の方が大切なんです。
私は看護師として夜勤もある不規則な生活を送っていますが、ナイトルーティーンを見直してから、短い睡眠時間でも驚くほど体が回復するようになりました。
病棟で患者さんを見ていても、睡眠の質が悪い方は回復が遅く、体調を崩しやすい傾向にあります。逆に、質の良い睡眠を取れている方は、同じ治療でも回復スピードが全然違うんです。
この記事では、看護師としての知識と、私自身が試行錯誤して辿り着いた「睡眠の質を上げるナイトルーティーン」を12個紹介します。
今日から実践できるものばかりなので、ぜひ試してみてください。
なぜ睡眠の質が重要なのか?睡眠のメカニズム
「8時間寝たのに疲れが取れない」という人と、「6時間でもスッキリ目覚める」という人。この差は、睡眠の質にあります。
レム睡眠とノンレム睡眠のサイクル
睡眠には「レム睡眠(浅い眠り)」と「ノンレム睡眠(深い眠り)」があり、これが約90分周期で繰り返されます。
特に重要なのが、入眠後最初の3時間。この時間帯に最も深いノンレム睡眠が訪れ、成長ホルモンが分泌されて体が修復されます。
看護師として夜勤中に患者さんの様子を見ていると、入眠直後は本当に深く眠っていることが分かります。この時間を邪魔しないように、巡回のタイミングにも気を使っています。
じゃあ、最初の3時間さえ熟睡できれば、短時間睡眠でもいいってこと?
完全にそうとは言えませんが、入眠後の3時間の質を高めることが、睡眠全体の質を左右するのは事実です。だからこそ、寝る前の準備=ナイトルーティーンが重要になってくるんです。
睡眠の質が低下する原因
現代人の睡眠の質が低下している主な原因は:
- スマホやPCのブルーライト
- 不規則な生活リズム
- ストレスや不安
- カフェインやアルコールの摂取
- 寝室環境の問題(温度、湿度、音、光)
- 運動不足
これらを改善するのが、これから紹介するナイトルーティーンです。
看護師が実践!睡眠の質を上げるナイトルーティーン【時間帯別】
ナイトルーティーンは、寝る直前だけでなく、夕方からの過ごし方が重要です。時系列で紹介していきますね。
【夕方16時〜18時】体内時計をリセットする準備
1. 夕方に軽い運動をする
夕方に軽く体を動かすと、体温が一時的に上がり、その後下がるタイミングで眠気が訪れやすくなります。
私は夜勤がない日は、夕方に20〜30分のウォーキングをするようにしています。激しい運動は逆効果なので、「少し汗ばむ程度」がベストです。
おすすめの運動:
- ウォーキング(20〜30分)
- 軽いジョギング
- ストレッチやヨガ
- 階段の上り下り
寝る直前の激しい運動は、交感神経を刺激して逆に眠れなくなります。運動は遅くとも就寝3時間前までに済ませましょう。
2. 夕食は就寝3時間前までに済ませる
食後すぐに寝ると、消化活動で睡眠の質が低下します。理想は就寝3時間前までに夕食を終えること。
夜勤明けの看護師あるあるですが、帰宅後すぐに食べて寝ると、胃もたれで目が覚めたり、眠りが浅くなったりします。
どうしても遅くなる場合は:
- 消化に良いものを選ぶ(おかゆ、うどん、スープなど)
- 量を控えめにする
- よく噛んでゆっくり食べる
【夜19時〜21時】リラックスモードに切り替える
3. カフェインは15時以降は控える
カフェインの覚醒作用は、摂取後5〜7時間続きます。つまり、夕方以降のコーヒーは、夜の睡眠に影響するということ。
夜勤中はコーヒーが欠かせない看護師ですが、日勤の日は午後3時以降はカフェインを避けるようにしています。
夕方以降におすすめの飲み物:
- ノンカフェインのハーブティー(カモミール、ラベンダーなど)
- 白湯
- ホットミルク
- 麦茶
4. 間接照明に切り替える
夜になっても明るい照明の下にいると、体が「まだ昼間だ」と錯覚して、メラトニン(睡眠ホルモン)の分泌が抑えられます。
夜8時以降は、リビングの照明を暗めに調整したり、間接照明だけにしたりすると、自然と眠気が訪れやすくなります。
暗いと何もできないじゃん…
確かに。でも、寝る2時間前からは「リラックスタイム」と割り切って、読書や音楽を聴くなど、落ち着いた活動にシフトするのがおすすめです。
【夜21時〜22時】入眠準備の黄金タイム
5. ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる
これは本当に効果的です。38〜40度のぬるめのお湯に15〜20分浸かると、体の深部体温が上がり、その後の体温低下で自然な眠気が訪れます。
お風呂に入るタイミングは、就寝1〜2時間前がベスト。体温が下がり始めるタイミングで布団に入ると、スムーズに入眠できます。
私は夜勤明けでも、必ず湯船に浸かるようにしています。シャワーだけだと、どうしても睡眠の質が落ちるんです。
入浴時のポイント:
- 温度は38〜40度(熱すぎない)
- 時間は15〜20分
- 好きな香りの入浴剤を使う
- 浴室の照明を暗めにする
- 防水スピーカーでリラックス音楽を流す
熱いお湯(42度以上)は交感神経を刺激して、逆に目が覚めてしまいます。「ちょっとぬるいかな?」くらいが、実は睡眠には最適な温度なんです。
6. ブルーライトをカットする
スマホやPCの画面から出るブルーライトは、メラトニンの分泌を抑制します。
理想は就寝2時間前からスマホを見ないことですが、現実的には難しいですよね。私も寝る前についスマホを触ってしまいます。
なので、せめて以下の対策を:
- スマホのナイトモード(ブルーライトカット機能)をONにする
- 画面の明るさを最低限まで下げる
- ブルーライトカット眼鏡を使う
- 就寝30分前にはスマホを手放す
7. ストレッチや軽いヨガをする
寝る前の軽いストレッチは、筋肉の緊張をほぐし、副交感神経を優位にする効果があります。
特に、デスクワークや立ち仕事で体が凝っている人には効果的。私も夜勤で疲れた日は、10分ほどストレッチをしてから寝るようにしています。
おすすめのストレッチ:
- 首や肩をゆっくり回す
- 仰向けで両膝を抱える
- 股関節のストレッチ
- 深呼吸しながら全身の力を抜く
- ベッドの上で足首を回す
8. 日記やメモで頭の中を整理する
「明日あれやらなきゃ」「今日のあれ、失敗したかも…」そんな考えが頭を巡って眠れないこと、ありますよね。
寝る前に簡単にメモを書き出すだけで、脳がスッキリして眠りやすくなります。
看護師の仕事は責任が重く、帰宅後も仕事のことが頭から離れないことがあります。そんな時は、ノートに「今日あったこと」「明日やること」を箇条書きにするだけで、不思議と気持ちが落ち着くんです。
書くのめんどくさい…
分かります(笑)。でも、たった3行でもいいので書き出すだけで、脳が「これは保存された」と認識して、考え続けることをやめてくれるんです。騙されたと思って一度試してみてください。
【就寝直前】最高の入眠環境を作る
9. 寝室の温度・湿度を整える
寝室環境は、睡眠の質に直結します。理想的な条件は:
- 温度:16〜19度(夏場は26〜28度)
- 湿度:50〜60%
病棟でも、患者さんの病室の温度・湿度は厳密に管理しています。特に高齢者や体調不良の方は、環境の影響を受けやすいからです。
暑すぎても寒すぎても、途中で目が覚めてしまいます。エアコンや加湿器を活用して、快適な環境を作りましょう。
10. 遮光カーテンで光を完全にシャットアウト
光は睡眠の大敵です。わずかな光でも、メラトニンの分泌が妨げられます。
特に、街灯の光や車のライトが入ってくる寝室は要注意。遮光カーテンに変えるだけで、睡眠の質が劇的に改善することがあります。
夜勤明けに日中寝る時は、遮光カーテン必須。これがないと本当に眠れません。
遮光カーテンは「1級遮光(遮光率99.99%以上)」を選ぶのがおすすめ。2級や3級だと、まだ光が入ってきてしまいます。
11. アロマや香りでリラックス
嗅覚は、脳にダイレクトに作用します。リラックス効果のある香りを使うことで、自然と眠気を誘うことができます。
おすすめのアロマ:
- ラベンダー:リラックス効果が最も高い
- カモミール:不安を和らげる
- ベルガモット:気分を落ち着かせる
- サンダルウッド:深い眠りを促す
アロマディフューザーがなくても、枕元にアロマオイルを数滴垂らしたティッシュを置くだけでOKです。
12. 眠くなってから布団に入る
これ、意外と大事です。「眠くないけど時間だから寝よう」は、かえって逆効果。
布団の中で眠れない時間が長く続くと、脳が「布団=眠れない場所」と学習してしまい、不眠の原因になります。
眠気を感じるまでは、リビングで読書をしたり、静かな音楽を聴いたりして待ちましょう。そして、「あ、眠いな」と感じたタイミングで布団に入るのがベストです。
NG行動!これをすると睡眠の質が下がります
良い習慣と同じくらい、やってはいけないことを知ることも重要です。
寝る直前のアルコール
「寝酒」は一見眠れそうですが、実は睡眠の質を大きく下げます。
アルコールは入眠を早めますが、深い眠り(ノンレム睡眠)を妨げ、夜中に目が覚めやすくなります。また、利尿作用でトイレに起きることも。
どうしても飲む場合は、就寝3時間前までに。そして、水分補給もしっかりと。
激しい運動や興奮する活動
寝る直前に:
- 激しい筋トレ
- ホラー映画やアクション映画
- 仕事のメールチェック
- SNSで喧嘩
こういった活動は、交感神経を刺激して目が冴えてしまいます。
寝る前の大食い
満腹状態で寝ると、消化活動で睡眠の質が低下します。特に、脂っこいものや刺激物は避けましょう。
昼寝のしすぎ
昼寝は15〜20分ならOKですが、30分以上寝ると夜の睡眠に影響します。
夜勤明けは別ですが、日中に長時間寝るのは避けたほうが良いですね。
睡眠の質が上がると人生が変わる【看護師の実体験】
私がナイトルーティーンを見直したのは、3年前のこと。当時は夜勤の疲れが取れず、日中もボーッとして、仕事でミスも増えていました。
「このままじゃダメだ」と思い、睡眠について勉強し、生活習慣を少しずつ変えていったんです。
最初は効果を感じませんでしたが、2週間ほど続けたあたりから、明らかに体調が変わりました。
- 朝、スッキリ目覚められる
- 日中の集中力が上がった
- イライラすることが減った
- 肌の調子が良くなった
- 風邪を引きにくくなった
睡眠の質を上げるだけで、こんなに人生が変わるのかと、本当に驚きました。
今では同僚にも勧めていて、「最近調子いいね」と言われることが増えました。
まとめ:睡眠の質は「寝る前の習慣」で決まる
睡眠の質を上げるために、特別なことは必要ありません。日々の小さな習慣を積み重ねるだけです。
今日から始められるナイトルーティーン12選:
- 夕方に軽い運動をする
- 夕食は就寝3時間前までに
- カフェインは15時以降控える
- 夜は間接照明に切り替える
- ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる
- ブルーライトをカットする
- 寝る前にストレッチをする
- 日記やメモで頭を整理する
- 寝室の温度・湿度を整える
- 遮光カーテンで光を遮断
- アロマで香りのリラックス
- 眠くなってから布団に入る
全部を一度に始める必要はありません。まずは1つ、自分にできそうなことから試してみてください。
看護師として、多くの患者さんを見てきて感じるのは、「良質な睡眠は、最高の薬」だということ。
どんな健康法よりも、まずは睡眠。睡眠の質が上がれば、体も心も、驚くほど元気になります。
今夜から、あなたも新しいナイトルーティーンを始めてみませんか?
質の良い睡眠で、明日のあなたがもっと輝きますように。おやすみなさい。
睡眠は「時間」より「質」です。忙しくて長時間眠れない日も、寝る前の1時間の過ごし方を変えるだけで、体の回復力は大きく変わります。自分の体を大切に、今日からできることを一つずつ。あなたの健康を、心から応援しています!