「また風邪引いちゃった…」季節の変わり目や冬になると、すぐに体調を崩してしまう。そんな悩み、ありませんか?
私は看護師として病棟で10年以上働いていますが、毎日たくさんの患者さんと接触しているにもかかわらず、ここ数年、ほとんど風邪を引いていません。
一方で、同じ環境で働いているのに、頻繁に体調を崩す同僚もいます。この差は一体どこから来るのでしょうか?
実は、風邪を引かない人には共通する「予防習慣」があるんです。特別なことではなく、日常生活のちょっとした工夫の積み重ね。
この記事では、看護師としての経験と、実際に風邪を引きにくい人たちが実践している習慣をもとに、誰でも今日から始められる風邪予防法を紹介します。
なぜ風邪を引きやすい人と引きにくい人がいるのか
同じ環境にいても、風邪を引く人と引かない人がいます。その違いは何でしょうか?
免疫力の個人差
風邪は、主にウイルスが体内に侵入することで発症します。でも、ウイルスに触れたからといって必ず風邪を引くわけではありません。
免疫システムがしっかり機能していれば、ウイルスを撃退できるんです。
病棟で働いていると、インフルエンザや風邪の患者さんと毎日接触します。でも、全員が感染するわけではない。これは、個人の免疫力の差によるものなんです。
免疫力って、生まれつき決まってるんじゃないの?
いいえ、そんなことはありません。免疫力は生活習慣で大きく変わります。実際、私も以前はよく風邪を引いていましたが、習慣を変えてから明らかに体調が安定するようになりました。
粘膜のバリア機能
風邪のウイルスは、主に鼻やのどの粘膜から侵入します。
この粘膜が乾燥していたり、傷ついていたりすると、ウイルスが侵入しやすくなります。逆に、粘膜が潤っていて健康な状態なら、ウイルスをブロックできるんです。
看護師として患者さんを見ていると、口呼吸の習慣がある人や、水分摂取が少ない人は、風邪を引きやすい傾向にあります。
ストレスと睡眠不足
これは本当に実感します。夜勤明けや、忙しい時期は風邪を引きやすいんです。
ストレスや睡眠不足は、免疫機能を低下させます。自律神経のバランスが崩れ、体の防衛システムが弱まってしまうんですね。
看護師が実践している風邪予防習慣【基本編】
まずは、誰でも今日から始められる基本的な予防習慣から紹介します。
1. 正しい手洗いを徹底する
これは看護の基本中の基本ですが、正しい手洗いができている人は意外と少ないんです。
風邪のウイルスは、主に手を介して鼻や口に運ばれます。ドアノブ、電車のつり革、スマホ…私たちは1日中、ウイルスが付着している可能性のあるものに触れています。
正しい手洗いの手順:
- 流水で手を濡らす
- 石鹸をしっかり泡立てる
- 手のひら、手の甲、指の間、爪の間、手首まで最低20秒かけて洗う
- 流水でしっかりすすぐ
- 清潔なタオルで水気を拭き取る
「ハッピーバースデー」の歌を2回歌うくらいの時間(約20秒)をかけて洗うと、ちょうど良い長さです。指の間や爪の間は特に忘れがちなので意識しましょう!
2. こまめな水分補給で粘膜を守る
のどや鼻の粘膜が乾燥すると、ウイルスが侵入しやすくなります。
私は病棟で働いている間、1時間に1回は必ず水を飲むようにしています。一口でもいいんです。粘膜を潤すことが目的なので。
特に冬場や、エアコンで室内が乾燥している時は要注意。気づかないうちに粘膜が乾いています。
おすすめの水分補給方法:
- 常温の水やお茶をこまめに飲む
- 起床後、すぐにコップ1杯の水を飲む
- デスクに常に飲み物を置いておく
- 緑茶やほうじ茶は抗菌作用もあるのでおすすめ
3. マスクを正しく着用する
マスクは「自分が風邪を引いた時につけるもの」と思われがちですが、予防効果も期待できます。
特に、人混みや電車の中など、感染リスクが高い場所では有効です。また、マスクをすることで鼻やのどの粘膜の乾燥を防ぐ効果もあります。
マスクって意味あるのかな?隙間から入ってきそうだけど…
完璧にウイルスをブロックできるわけではありませんが、ウイルスの侵入量を減らすことができれば、免疫システムが対処しやすくなります。また、無意識に顔を触る回数が減るのも予防につながります。
4. 室内の湿度を50〜60%に保つ
ウイルスは乾燥した環境を好みます。湿度が低いと、ウイルスが空気中に長く漂い、感染リスクが高まります。
また、乾燥は粘膜のバリア機能も低下させます。加湿器を使って、室内の湿度を50〜60%に保つことが理想的です。
加湿器がない場合は、濡れタオルを干したり、洗濯物を室内干しにしたりするだけでも効果があります。
加湿器を使う場合は、定期的な掃除が必須です。カビや雑菌が繁殖すると、逆に健康被害のリスクがあります。週に1回は掃除しましょう。
風邪を引かない人の生活習慣【免疫力アップ編】
基本的な予防に加えて、免疫力そのものを高める習慣も重要です。
5. 質の良い睡眠を7時間以上確保する
これは本当に大事です。睡眠不足は免疫力を確実に低下させます。
研究によると、睡眠時間が6時間未満の人は、7時間以上寝ている人に比べて風邪を引くリスクが4倍以上高いというデータもあります。
夜勤のある看護師の仕事では、規則正しい睡眠が難しいこともありますが、それでも睡眠の「質」を上げる工夫はできます。
睡眠の質を上げるコツ:
- 就寝2時間前からブルーライトを避ける
- 寝室の温度は18〜20度に保つ
- 寝る前のカフェイン・アルコールは控える
- 朝起きたら太陽の光を浴びる(体内時計のリセット)
6. バランスの良い食事で栄養を摂る
免疫細胞を作るのも、機能させるのも、すべて「栄養」が必要です。
特に意識したい栄養素は以下の通り:
- タンパク質:免疫細胞の材料(肉、魚、卵、大豆製品)
- ビタミンC:免疫機能のサポート(柑橘類、ブロッコリー、パプリカ)
- ビタミンD:免疫の調整(魚、きのこ、日光浴)
- 亜鉛:免疫細胞の活性化(牡蠣、レバー、ナッツ)
- 発酵食品:腸内環境を整える(ヨーグルト、納豆、味噌)
病棟で働く看護師仲間で風邪を引きにくい人に聞くと、ほとんどが「朝ごはんをしっかり食べる」「野菜を意識的に摂る」と答えます。
腸内環境と免疫力は密接に関係しています。免疫細胞の約70%は腸に存在するため、発酵食品や食物繊維を摂って腸内環境を整えることが、風邪予防につながります。
7. 適度な運動で血流を改善する
運動は免疫力を高める効果があります。ただし、激しすぎる運動は逆効果です。
おすすめは、ウォーキングや軽いジョギング、ストレッチなどの「適度な運動」。これらは血流を改善し、免疫細胞が体内を巡りやすくなります。
私は夜勤明けでも、軽く散歩するようにしています。20分程度歩くだけでも、体がすっきりして、その後の睡眠の質も上がります。
運動のポイント:
- 1日20〜30分の軽い運動
- 週に3〜4回が目安
- 無理のない範囲で継続する
- 運動後は汗を拭き、体を冷やさない
8. ストレスをため込まない工夫をする
ストレスは免疫力の大敵です。慢性的なストレスは、自律神経のバランスを崩し、免疫機能を低下させます。
看護師の仕事は、精神的にも肉体的にもハードです。だからこそ、意識的にストレスを発散する時間を作ることが大切。
私がやっているストレス対策:
- 好きな音楽を聴く
- ゆっくりお風呂に入る
- 友達と話す
- 深呼吸や瞑想(5分でもOK)
- 自然の中を散歩する
忙しくて、ストレス発散の時間なんて取れない…
分かります。でも、5分でも10分でも、自分のための時間を作ることが大事なんです。その積み重ねが、体調を守ることにつながります。
風邪予防のための日常的な工夫【実践編】
ここからは、日常生活の中でできる、ちょっとした予防の工夫を紹介します。
9. 帰宅後すぐの「うがい・手洗い・着替え」
外出から帰ったら、玄関を入って5分以内にこの3つを済ませる習慣をつけましょう。
特に、外出着にはウイルスが付着している可能性があります。部屋着に着替えることで、ウイルスを生活空間に持ち込むリスクを減らせます。
うがいは、まず水で口をゆすぎ、その後にのどの奥までうがいするのが正しい方法。最初からのどをうがいすると、口の中のウイルスをのどに送り込んでしまいます。
10. 体を冷やさない工夫をする
体温が1度下がると、免疫力は30%以上低下すると言われています。
特に、首、手首、足首の「3つの首」を温めることが効果的。ここには太い血管が通っているため、温めることで全身の血流が良くなります。
体を温める工夫:
- マフラーやネックウォーマーを使う
- 温かい飲み物を飲む(白湯、生姜湯、ほうじ茶など)
- 湯船にしっかり浸かる(38〜40度で15分程度)
- 靴下を履く(ただし寝る時は脱ぐ)
- 温かい食事を摂る
「冷え」を感じたら、すぐに対処することが大切。「ちょっと寒いな」と思った時点で、一枚羽織る、温かいものを飲むなど、早めの対応が風邪予防につながります。
こんな時は要注意!風邪を引きやすいタイミング
風邪を引きやすいタイミングを知っておくと、より効果的に予防できます。
季節の変わり目
気温の変化に体がついていけず、免疫力が低下しやすい時期です。服装で体温調整できるよう、重ね着を意識しましょう。
疲れがたまっている時
「最近忙しいな」と感じたら、黄色信号。意識的に休息を取り、睡眠時間を確保しましょう。
人混みに行った後
ショッピングモール、電車、イベント会場など、人が多い場所に行った後は、帰宅後すぐのうがい・手洗いを徹底しましょう。
飲み会や遊びで夜更かしした後
楽しい時間も大切ですが、その後のケアが重要。翌日はゆっくり休む、栄養のあるものを食べるなど、体をいたわりましょう。
それでも風邪を引いてしまったら
どんなに予防しても、風邪を引いてしまうことはあります。そんな時は:
- 早めに休む:「ちょっと喉が痛いな」の段階で休息を取る
- 無理をしない:仕事や予定をキャンセルする勇気も大切
- 水分と栄養を摂る:消化に良いものを少しずつ
- 他人にうつさない配慮:マスク着用、手洗い徹底
看護師として多くの患者さんを見てきましたが、風邪は「早期対応」が何より大切です。「このくらい大丈夫」と無理をすると、長引いたり悪化したりします。
まとめ:風邪予防は「毎日の小さな習慣」の積み重ね
風邪を引かない人は、特別なことをしているわけではありません。日常生活の中での小さな習慣を、コツコツ続けているだけです。
今日から始められる風邪予防習慣:
- 正しい手洗いを徹底する
- こまめに水分を補給する
- マスクを活用する
- 室内の湿度を保つ
- 7時間以上の睡眠を確保する
- バランスの良い食事を摂る
- 適度な運動を習慣にする
- ストレスをため込まない
- 帰宅後すぐのうがい・手洗い・着替え
- 体を冷やさない
看護師として10年以上働いてきて感じるのは、「免疫力は、日々の生活習慣で大きく変わる」ということ。
完璧を目指す必要はありません。できることから、少しずつ。それが、風邪を引かない体を作る第一歩です。
この冬、あなたが元気に過ごせますように。どうぞご自愛くださいね。
風邪予防で最も大切なのは「継続すること」。1日だけ頑張っても意味がありません。でも逆に言えば、毎日少しずつ続けるだけで、確実に体は変わります。あなたの体を守れるのは、あなただけ。一緒に、風邪に負けない体を作っていきましょう!