患者さんの状態が急変したとき、「どうしよう!」「早く先生を呼ばなきゃ!」と焦ってしまい、頭が真っ白になった経験はありませんか?
新人ナースや学生さんが急変時にパニックになってしまうのは、決して恥ずかしいことではありません。大切なのは「焦らないこと」ではなく、「焦っている状態でも、最低限やるべき手順を知っておくこと」です。
今回は、緊急時に的確に動き、医師や先輩へスムーズに報告するための具体的なステップとマインドセットをわかりやすく解説します!
1. なぜ急変時に頭が真っ白になるの?
パニックになる最大の原因は、「自分一人でなんとか解決しよう」、あるいは「完璧なアセスメントをしてから報告しなきゃ」と思い込んでしまうからです。
緊急時の大原則
緊急時のあなたの最大のミッションは、病名を当てることでも、完璧な処置をすることでもありません。
「異常事態が起きていることを、1秒でも早く周りに知らせること」です。
2. 焦ったときこそ!動く前の「3秒ルール」
アラームが鳴ったり、患者さんの異変を見つけたりしたとき、すぐに走り出す前に「3秒だけ」立ち止まって深呼吸し、以下の2つを確認するクセをつけましょう。
- 意識と呼吸はあるか?
「〇〇さん!」と肩を叩いて呼びかけます。反応がなく、胸の上がり(呼吸)もなければ、アセスメントは不要です。即座に「誰か来てください!急変です!」と大声で叫び、胸骨圧迫を開始します。 - 自分自身の安全は確保されているか?
周囲に危険なものがないか確認します。
3. パニックを防ぐ「的確な対応」のステップ
意識があり、今すぐの蘇生(CPR)が不要な場合は、以下の手順で動きます。
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1絶対にその場を離れず、人を呼ぶ
「ナースステーションに報告に行かなきゃ!」と患者さんの元を離れるのはNGです。ベッドサイドのナースコールや手元のピッチで応援を呼びます。
※在宅療養の現場などで自分一人しかいない場合は、迷わず119番通報、または訪問診療医・管理者に電話をかけます。スピーカーフォンにして両手を空けておくのがポイントです。
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2「ABC」だけは確認する
応援が来るまでの数十秒間に、命に関わる「ABC」をチェックします。
- A (Airway/気道): 声が出ているか?喉に何かつまっていないか?
- B (Breathing/呼吸): 息苦しそうじゃないか?SpO2はいくつか?
- C (Circulation/循環): 手首の脈に触れるか?(速い・遅い・触れない)、血圧は測れるか?
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3メモに書き出す(脳のメモリを空ける)
焦っていると、測ったはずの血圧やSpO2の数字を忘れてしまいます。手の甲でも、ポケットのメモ帳でもいいので、「測定した数字」と「時間」だけは必ず書き留めましょう。これだけで報告の的確さが劇的に上がります。
4. 震える声でも大丈夫!「SBAR」を使った報告術
医師や先輩に報告するときは、結論から伝える「SBAR(エスバー)」の型にはめるだけで、焦っていても必要な情報がスッキリ伝わります。
- S (状況/結論):いま何が起きているか?
「〇〇さん(患者名)が、息苦しさを訴えており、呼吸状態が悪化しています(急変です)」 - B (背景):どんな患者さんか?
「心不全の既往がある方で、昨晩から体重増加と浮腫が見られていました」 - A (評価):現状のバイタルは?
「現在、SpO2が88%(ルームエア)、血圧は160/90、呼吸回数は30回/分です。意識は清明ですが冷汗があります」 - R (提案/依頼):どうしてほしいか?
「酸素投与を開始してよいでしょうか?すぐにベッドサイドに来ていただけますか?」
報告のコツ:
電話をかける前、あるいは声をかける前に、「一番伝えたいS(状況)」と「A(バイタルの数字)」のメモを目の前に準備して、深呼吸を1回してから話し始めましょう。
おわりに
「急変対応に自信がある」と最初から言える新人ナースはいません。誰もが最初は声が震え、先輩に助けられながら少しずつ動けるようになっていきます。
まずは「ひとりで抱え込まず、すぐに人を呼ぶこと」、そして「SBARのメモを見ながら伝えること」。この2つができれば、あなたの対応はすでに100点満点です!
目の前の患者さんのサインを見逃さないよう、日々の観察(アセスメント)を大切にしていきましょうね。応援しています!