正直に言うと、今回のDIY車塗装は完全にノリで始めた。
「プロに出せばきれいになるのは分かってるけど、数万円も払うのはちょっと…自分でやれば安上がりで済むんじゃない?」みたいな軽い気持ちから。結果として、簡単じゃなかったし、想像以上に失敗した。でも、同時に学びも多かったし、達成感もあった。ここではその一部始終を日記風にまとめておく。
準備の日:道具を揃えるところから既に戦い
朝から気合を入れてホームセンターへ。耐水ペーパー、プラサフ、上塗り用スプレー缶、クリア、マスキングテープ、ビニール養生、研磨ブロック、コンパウンド……気づいたら買い物カゴがいっぱいになっていた。正直「こんなに必要なの?」って思ったけど、まあプロに出すより安いと自分に言い聞かせてレジへ。
道具を並べると妙にテンションが上がる。「なんか俺、プロっぽいかも」と思った瞬間に作業を始めた。今日は絶対に車をピカピカにするぞ、と意気込んでいた。
下地処理で早速の想定外
塗装前のサビ落とし作業で早速つまずいた。軽く削れば済むと思っていたら、塗膜が意外と広範囲で浮いていて、ペーパーをかけるたびにどんどん剥がれていく。「え、こんなに広がるの?」と焦りながらも、仕方なくガシガシ削る。手で触るとザラザラして、胸の中の余裕はどんどん削られていった。
プラサフで失敗 — 厚塗りは地獄の始まり
プラサフ(サフェーサー)を吹く段階でやらかした。YouTubeやブログで予習していたものの、加減がわからずつい厚めに吹いてしまった。乾いた後に見てみるとボコボコのムラ状態。触るとザラザラで完全に「失敗しました」モード。
仕方なく耐水ペーパーで研いでみたところ、削りすぎて地金が一部露出……。そこからまたプラサフを吹き直す羽目になり、数時間が無情に消えていった。DIY塗装、時間泥棒すぎる。
上塗りでの焦りと垂れ問題
サフェをある程度整えて、いよいよ上塗り。最初は慎重にやったつもりだったが、ある箇所で吹きすぎて垂れを作ってしまった。塗料がダラーっと流れて、一気にテンションが落ちる。
垂れは乾いてから研げばリカバリーできると頭では分かっているものの、実際に乾いて研ぐ作業は手間だし気分は下がる。ここで学んだのは、「焦って一発で仕上げようとするとろくなことがない」という当たり前の教訓だ。
最大の敵:境目(旧塗装と新塗装の段差)
塗り終わって乾いたあと目立ったのは“境目”問題。新しい塗装と元の塗装の境目が段差になって残り、光の加減でバッチリ浮き出す。いくらヤスリで研いでも完全には消えない。触るとザラっとして、近くで見ると「あ、自分で塗ったな」って一発でバレるレベル。
ここで選択肢が二つ。「とりあえず目立たなければOK(簡易仕上げ)」か、「徹底的に平らにする(本気仕上げ)」。私は気になって仕方ないタイプなので後者を選び、根気強く処理を続けることにした。
本気仕上げの流れ(私がやったこと)
- 境目を広範囲に削る(#400〜#600で山を落とす)
- 露出した地はプラサフでカバー→乾燥→#800〜#1000で研いで平滑化
- 上塗りを段差より広めに(1.5倍〜2倍)掛ける
- クリアも同様に広範囲で吹く
- 完全乾燥後に#1500〜#2000で水研ぎ→コンパウンドで磨く
これをやると時間はかかるけど、段差はかなり目立たなくなる。だが本当に面倒くさい。何度もやり直しているうちに日が暮れてしまうこともしばしばだった。
マスキングの落とし穴
最初はマスキングテープをピシッと貼って境界を作っていたが、乾いてテープを剥がすと境目にクッキリと線が出る。これがまた段差の元凶。ネットで「マスキングはぼかすようにやれ」と見ていればよかったと深く後悔した。
結果的に私は、テープの端を少し浮かせる“ぼかしマスキング”や、広めに新聞紙やビニールで覆う方法で対処した。完全に解消するにはやっぱり研ぎとサフェ再吹きが必要になる。
クリア塗装と研ぎ出しで少しだけ化ける
色を乗せた後にクリアを吹いて、ある程度の乾燥期間(数日)を置いてから研ぎ出しに入った。#1500→#2000と水研ぎして、コンパウンドで磨くと光沢が出て「それっぽく」なる。
完璧には程遠いけど、遠目に見るとかなり良くなる。たぶん素人が一番満足できる瞬間はこの「磨き上げでツヤが出たとき」だと思う。
時間と根気がすべて
今回の作業、最初に取り掛かってから完全に終わるまでに約2週間かかった。仕事終わりや休日をつなぎ合わせて進めたから、かなり時間がかかった印象だ。
やってみて分かったのは、DIY塗装は「準備8割、作業2割」だということ。下地処理や養生をどれだけ丁寧にやるかで仕上がりが決まる。逆に、ここを手抜きすると後で何倍も苦労する。
具体的に失敗したこと・学んだことリスト
- プラサフの厚塗りはNG:薄く何度も、が正解。
- 上塗りは焦らない:1回で厚塗りすると垂れる。20〜30cm離して薄く何度も。
- 境目は広めに研ぐ:狭く直そうとすると逆に目立つ。
- マスキングはぼかす:ピッタリ貼ると境界線が残る。
- 乾燥を甘く見るな:触りたくなる気持ちを抑えて十分に待つ。
それでもやってよかったのか?
結論から言うと、やってよかった。時間も手間も使ったけど、完成した車を眺めると不思議な達成感がある。近くで見るとアラだらけだけど、「自分で塗った」という満足感は大きい。少々のムラや段差も、個人的には「努力の跡」だと思えて愛着に変わった。
ただし、プロ並みの完璧な仕上がりを求めるなら最初から板金屋に出したほうが精神的にも時間的にもコスパは良い。DIYは節約というより“学びと経験”を買う作業だと理解した方がいい。
次にやるならここを変える
- 下地処理をもっと丁寧にする(剥がれや浮きを見落とさない)
- プラサフは薄く何度も、間を空けて乾燥させる
- マスキングは「ぼかし」を徹底する
- 上塗りとクリアは広めにカバーしてから研ぎ出す
- 気温・湿度の安定した日にまとめて作業する
最後に一言(正直なアドバイス)
もしこの日記を読んで「自分もやってみようかな」と思う人がいるなら、時間に余裕を持ってやれと言いたい。1日で終わる作業じゃないし、失敗しても直せる余裕が必要。失敗は恥じゃなくて経験値。直せる方法はいくらでもある。
そして、もし「完璧な仕上がり」を求めるなら素直にプロに頼むのが正解だ。お金はかかるけど、精神的な余裕と仕上がりを買える。私は今回、自分でやったから得たものが大きかった。次に直すときは今回の失敗を活かして、もっと上手くやるつもりだ。