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【錆取りDIY】ステップ3:これが錆との決着!地金が出るまで削る理由とコツ

前回の記事で、分厚い錆を大まかに除去する「荒削り」の工程を終えました。見た目は少しきれいになったかもしれませんが、まだ安心はできません。今回のステップ3は、DIY錆取り作業の正念場であり、成功と失敗を分ける最も重要な工程です。テーマは「地金が出るまで徹底的に削る」こと。

「え?もう錆びてないように見えるのに、まだ削るの?」と思うかもしれません。しかし、この一手間を惜しむと、数ヶ月後、あなたの愛車に再び憎き錆が浮き上がってくることになります。そうならないために、なぜ地金が見えるまで削り続ける必要があるのか、その理由と具体的な方法を徹底的に解説していきます。ここを乗り越えれば、あなたは錆の連鎖を断ち切ることができます。

なぜ「地金」が見えるまで削る必要があるのか?

多くのDIY初心者が陥る最大の失敗が、この「削り込み不足」です。表面の錆だけを削ってしまい、まだ奥に残っている錆を見逃してしまうのです。なぜ、そこまで深く削らなければならないのでしょうか?その理由は3つあります。

1. 目に見えない「錆の種」を根絶する

錆は、表面が赤く変色している部分だけでなく、その下の鉄板内部にも、目に見えない形で深く浸食しています。これは、まるで植物の根のように、鉄の分子レベルで広がっているのです。表面だけを削り取っても、この「錆の根」が残っていると、上からどんなに完璧に塗装をしても、時間の経過とともに再び錆が成長し、塗装を押し上げて浮き上がらせてしまいます。この現象を避けるためには、錆が完全に消滅し、健全な鉄板(地金)が露出するまで削り続けることが不可欠なのです。

2. 塗料の密着性を最大化する

錆の上からプライマーや塗料を塗っても、密着性が非常に悪くなります。錆は脆く、もろい物質なので、その上に塗った塗料は、時間とともに剥がれやすくなってしまいます。一方、健全な地金の上に塗られたプライマーは、しっかりと密着し、強固な塗膜を形成します。この強固な下地が、長期的な防錆効果と、美しい仕上がりを保証してくれるのです。

3. 錆の進行度合いを正確に把握する

地金が出るまで削ることで、錆がどの程度深く進行していたのかを正確に把握できます。もし、削っても削っても地金が出てこず、クレーター状の穴がいくつも現れた場合は、錆がかなり深刻であることを意味します。この段階まで深く削り込んで初めて、今後の補修方法(パテ埋めや板金修理など)を正確に判断することができます。闇雲に錆転換剤を塗布するのではなく、まずは現状を正確に把握することが重要なのです。

このように、地金が出るまで削ることは、単なる作業工程ではなく、錆という敵を「根本から根絶する」ための最重要ミッションなのです。それでは、具体的にどうやって地金まで削り込んでいくか、そのテクニックを見ていきましょう。

地金まで削り込むための実践テクニック

この工程では、主にサンドペーパーを使います。電動工具を使用している場合も、最後の仕上げはサンドペーパーで行うことをお勧めします。

1. 粗目のサンドペーパー(#120~#240)を使う

分厚い錆を大まかに削り落としたら、次にサンドペーパーの粗目(#120〜#240)を使います。水に濡らしながら(水研ぎ)、円を描くように優しく、しかし確実に研磨していきます。この際、焦らず、力を均一にかけながら研磨することが重要です。この粗目での研磨を続けると、赤錆が徐々に消え、光沢のない銀色の鉄板が露出してくるはずです。

【ポイント】
「なかなか地金が出てこない」と感じる場合は、サンドペーパーの番手(目の粗さ)が細すぎる可能性があります。思い切って#120など、より粗いものに切り替えてみましょう。また、クレーターの底に錆が残っている場合は、指先でサンドペーパーを押し当てて、小さな円を描くようにピンポイントで研磨します。決して力を入れすぎず、地道な作業を続けることが成功の鍵です。

2. 地金が露出したかどうかの見極め方

地金が露出したかどうかは、見た目だけでなく、手触りでも判断できます。錆があった部分を指で触ってみて、ザラザラした感触や凸凹が完全に消え、なめらかな感触になったら、地金が露出している可能性が高いです。また、濡れた布で拭いてみて、赤錆の色が全く付着しなくなったら、錆の根絶が成功した証拠です。

よくある疑問Q&A

Q1:「地金が出てきたら、もう錆止めプライマーを塗ってもいいですか?」

A1:いいえ、まだです。地金が露出した面は、わずかな時間で空気中の酸素と反応し、再び錆び始めてしまいます。次の工程である「研磨面の最終仕上げ」と「脱脂」を行ってから、錆止めプライマーを塗布してください。

Q2:「錆が深く、穴が空いてしまいました。どうすればいいですか?」

A2:そこまで錆が進行している場合は、パテで埋めるか、専門の板金業者に修理を依頼するかの選択肢になります。パテで埋める場合は、次の記事で詳しく解説しますが、強度がないため、あくまで一時的な補修と考えた方が良いでしょう。根本的な解決には、溶接による鉄板の交換が必要になります。この場合は、無理をせずプロに相談することをお勧めします。

さて、これであなたは、地金が出るまで錆を削り込むことの重要性と、その方法を完全にマスターしました。この工程を乗り越えれば、錆の根は完全に断ち切られています。次の記事では、この研磨面をより滑らかにし、塗装に備えるための「最終仕上げ」について解説します。もう一息です。頑張りましょう!

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