モニターの心拍数アラームが「ピコン、ピコン」と鳴り、数字が50回/分を下回っている…!そんな時、「ちょっと脈が遅いだけかな?」と様子を見ていいのか、すぐに医師に報告すべきか迷うことはありませんか?
今回は、「安全な徐脈」と「危険な徐脈」の見分け方から、明日からすぐ臨床で使える観察ポイントまで、わかりやすく解説します!
1. 徐脈ってどんな状態?なぜ危険なの?
一般的に、心拍数が1分間に60回未満になった状態を「徐脈」と呼びます。
なぜ脈が遅いと問題なの?
心臓は全身に血液を送るポンプです。脈が遅すぎると、1分間に送り出せる血液の量(心拍出量)が減ってしまい、脳や全身の臓器が「酸欠・栄養不足」になってしまうからです。
ただし、脈が遅いからといって全てが危険なわけではありません。大切なのは「なぜ遅くなっているのか」を見極めることです。
2. 「様子を見ていい徐脈」と「危険な徐脈」
様子を見ていい徐脈(生理的なもの)
健康な人でも、以下のような場合は脈が遅くなります。これらは基本的に心配いりません。
- 睡眠中やリラックスしている時(副交感神経が優位なため)
- スポーツマン(スポーツ心臓と呼ばれ、1回のポンプの力が強いため回数が少なくても平気です)
危険な徐脈(病的なもの)
心臓の「電気信号」がうまく作られなかったり、途中で途切れたりして起こる徐脈です。(洞不全症候群や房室ブロックなど)
以下のような「脳に血が足りていないサイン」が出ている場合は、すぐに対応が必要です!
- めまい、ふらつき、目の前が真っ暗になる(眼前暗黒感)
- 失神(気を失って倒れる) ※アダムス・ストークス発作と呼びます
- 息切れ、強い倦怠感(だるさ)
- 冷汗、顔面蒼白
3. 明日から使える!看護の観察とアセスメント
徐脈の患者さんを受け持ったら、以下のステップでアセスメントを行いましょう。
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1自覚症状とバイタルサインの確認
まずは患者さんの元へ行き、「気分は悪くないですか?」「めまいはないですか?」と声をかけます。
モニターの数字だけでなく、実際の血圧が下がっていないか、SpO2は保たれているか、意識レベルに変化はないか(JCS/GCS)を必ず確認します。
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2直接「脈」に触れてみる(触知)
橈骨動脈(手首の脈)に直接触れてみましょう。1分間しっかり測ることで、「ト・ト・ト」と規則正しいか、それとも「ト・・・ト・ト」と結帯(脈が飛ぶ)があるかどうかがわかります。
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3内服薬のチェック(★超重要!)
高齢の患者さんや在宅で療養されている方で非常に多いのが、お薬の影響による徐脈です。
血圧を下げるお薬(β遮断薬、カルシウム拮抗薬など)や、心不全のお薬(ジギタリスなど)を飲んでいないか、お薬手帳や処方内容を必ずチェックしましょう。
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412誘導心電図の準備
明らかな異常や自覚症状がある場合は、すぐに医師に報告し、12誘導心電図をとる準備をします。
4. すぐに実践できる看護ケアと対応
- 転倒・転落の予防:
徐脈による「めまい」や「ふらつき」で転倒するリスクが非常に高いです。急に立ち上がらないように指導し、トイレへの移動時は付き添うなどの配慮が必要です。 - 保温に努める:
心拍出量が減ると手足の先(末梢)が冷えやすくなります。掛け物や室温を調整し、苦痛を和らげます。 - 急変時の備え(救急カートの確認):
危険な徐脈(血圧低下や意識障害を伴うもの)の場合は、一時的ペーシングや、アトロピンなどの薬剤投与が必要になることがあります。すぐに動けるよう、カートの位置を把握しておきましょう。
おわりに
徐脈のアセスメントで一番大切なのは、「数字(心拍数)だけでなく、患者さんの状態全体を見る」ことです。
「脈が40回台だけど、血圧は普段通りでニコニコお話しされている(普段からこの脈拍)」のか、「脈が50回台だけど、顔色が悪くて冷や汗をかいている」のか。この違いに気づけるようになれば、あなたのアセスメント力は格段にアップします!
まずはベッドサイドで、患者さんの脈に優しく触れるところから始めてみてくださいね。