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【錆取りDIY】ステップ5:錆の再発を徹底防止!脱脂とプライマー・錆転換剤の正しい使い方

あなたはこれまで、時間と労力をかけて錆を完全に除去し、塗装に最適な滑らかな下地を作り上げました。素晴らしいことです!しかし、これで作業完了ではありません。この後の工程が、あなたのDIYの努力が「一時的な補修」で終わるか、「長期的な防錆」につながるかを決定づけます。今回のステップ5では、二度と錆を発生させないための、非常に重要な処理について解説します。

その鍵となるのが、「脱脂」と「錆止めプライマー」、そして「錆転換剤」です。この3つを正しく使うことで、あなたの愛車は錆の脅威から完全に解放されます。特に、錆転換剤の正しい使い方を理解することは、多くのDIY愛好家が知らない、プロの秘密です。それでは、愛車を錆から守るための最後の防御壁を築いていきましょう。

なぜ「脱脂」が最も重要な工程なのか?

研磨作業が終わったばかりの面は、一見きれいに見えますが、実は油分やホコリ、そして目に見えない指紋などで汚れています。このまま塗装をすると、これらの汚れが原因で、塗料がしっかりと密着せずに剥がれてしまう「密着不良」を引き起こします。これを防ぐのが「脱脂」です。

脱脂の正しい方法と注意点

脱脂には、**パーツクリーナー**や**シリコンオフ**と呼ばれる専用の脱脂剤を使用します。これらは、油分やワックス、シリコンなどを強力に分解し、塗装面を完全にクリーンな状態にしてくれます。

【手順】

  1. きれいな布にパーツクリーナーをたっぷりと染み込ませます。
  2. 研磨した面全体を、一方方向に優しく拭き取ります。往復させて拭くと、汚れを広げてしまうことがあるので注意が必要です。
  3. 別のきれいな布で、残った溶剤や汚れをしっかりと拭き取ります。
  4. この作業を2〜3回繰り返します。

【注意点】
この作業は、絶対に素手で行わないでください。手から出る皮脂や油分が、せっかくきれいにした面に付着してしまいます。必ずニトリル手袋などを着用してから作業に臨みましょう。

錆の再発を防ぐ!プライマーと錆転換剤の正しい使い方

脱脂が完了した面は、空気中の酸素と触れることで、わずかな時間で再び錆び始めてしまいます。この脆弱な状態から鉄板を守るのが、錆止めプライマーと錆転換剤です。

1. 錆止めプライマーの役割と使い方

錆止めプライマーは、地金と塗料の間に位置し、錆の進行を防ぎながら塗料の密着性を高めるための下地剤です。地金が露出した面全体に、スプレータイプのプライマーを薄く、均一に塗布します。

【使い方】
缶をよく振り、対象物から20〜30cmほど離して、薄く重ね塗りします。一度に厚く塗ると液ダレの原因になるので、薄く、2〜3回に分けて塗り重ねるのがコツです。塗装の工程と同じように、塗り終えたらしっかりと乾燥させます。

2. 錆転換剤の真価を発揮させる使い方

錆転換剤は、錆を化学的に無害な物質に変える魔法の薬剤です。しかし、多くの人がその使い方を間違えています。**分厚い錆の上にそのまま塗っても、効果はほとんどありません。**

錆転換剤は、**「物理的に削りきれない、クレーターの底に残ったわずかな錆」**に対して使用することで、その真価を発揮します。錆取り作業を徹底的に行い、地金がしっかりと出た面を脱脂し、その後、もしわずかに錆が残っているように見える箇所があれば、そこにピンポイントで塗布します。薬剤が赤錆と反応して黒い膜を形成したら、それが安定した黒錆に変わった証拠です。

この作業は、あくまで補助的なものであり、メインの錆止めはプライマーが担います。錆転換剤で処理した面も、プライマーを塗ってから塗装に移ることが、長期的な防錆を保証する最善の方法です。

脱脂と防錆処理の失敗例と対策

失敗1:脱脂不足で塗装が剥がれる

脱脂が不十分だと、塗装した後に部分的に塗料が弾かれたり、数ヶ月後に塗装ごと剥がれてしまうことがあります。特に、指紋や手の油分は非常に強力なバリアとなります。対策としては、脱脂作業を複数回行うこと、そして必ず手袋を着用することです。

失敗2:プライマーを厚塗りしすぎる

プライマーを一度に厚く塗ると、乾燥不良や液ダレ、また塗膜にひび割れが生じることがあります。対策としては、必ず「薄く、重ね塗り」を徹底することです。缶に記載された乾燥時間を守り、焦らずに作業を進めましょう。

これで、あなたの愛車は錆の再発を防ぐための完璧な下地が整いました。次の記事では、いよいよ塗装の最終工程に入ります。パテ埋めによる凹みの補修から、スプレー缶を使った塗装、そしてツヤを出す最終仕上げまでを解説します。愛車を新車のように蘇らせる、感動のフィナーレが待っています!

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