第1章:導入|なぜリアフェンダーは錆びる?放置するとどうなる?
車を長く乗っていると、誰もが一度は悩むのが「錆(サビ)」です。特にリアフェンダーは、錆が出やすい代表的な場所。新品の頃はツヤツヤだったボディも、数年経つと塗装の下から茶色い斑点が浮き出てくることがあります。最初は小さな点錆にしか見えなくても、放置すればみるみるうちに広がり、やがて直径10センチ、20センチと大きなシミのような状態になるのです。
「ちょっとくらいの錆なら大丈夫でしょ」と思って放置する方も多いのですが、これは大きな誤解。錆は一度発生すると自然に止まることはなく、金属を蝕み続けます。最初は見た目だけの問題に思えても、やがて鉄板そのものが薄くなり、穴が開き、車検に通らなくなることさえあるのです。査定額の低下や売却時のマイナス評価も避けられません。つまり「錆を見つけたらすぐに対処する」が鉄則です。
リアフェンダーが錆びやすい理由
リアフェンダーは車体の後輪を覆うパネル部分を指します。走行中はタイヤが泥や小石、水を巻き上げるため、ボディの中でも最も過酷な環境にさらされている場所です。特に日本の冬道は融雪剤(塩カル)が撒かれるため、金属腐食の進行が一気に早まります。塩分を含んだ水分がフェンダー内側に入り込み、乾ききらないまま酸化反応を繰り返すことで錆が広がっていきます。
さらに、リアフェンダーは「目立たないけれど錆が隠れやすい」という特徴もあります。泥除けやアーチ部分の裏側など、普段は洗車の水が届きにくい部分に錆が進行し、気づいたときには外側まで広がっているケースが多いのです。
錆を放置するとどうなる?
放置した錆は、時間とともに以下のような問題を引き起こします。
- 進行が加速する:鉄と酸素、水が反応する酸化鉄の生成は、条件が揃えばどんどん進みます。錆びた部分は塗装が剥がれて防御力が落ちているため、周囲に次々と広がります。
- 見た目の劣化が一気に進む:フェンダーに茶色い大きなシミが広がると、どんなに車体を磨いても清潔感は失われます。大きな錆は「古い車」「手入れされていない車」という印象を与えます。
- 修理コストが跳ね上がる:点錆の段階であればDIYで補修可能ですが、鉄板が穴あきになると板金溶接やパネル交換が必要になり、数万円〜十数万円の修理費がかかります。
- 車検や安全性への影響:錆で金属が薄くなると強度が落ち、車検に通らない場合があります。リアフェンダーは泥跳ねを防ぐ役割もあるため、腐食が進むと保安基準に適合しません。
DIYで補修するメリット
「錆が出たら板金屋にお願いするしかない」と思う方も多いですが、DIYで対応するメリットは大きいです。
- 費用を抑えられる:材料費のみで、業者に頼むより格段に安く済む。
- 自分のペースで作業できる:休日や空いた時間に少しずつ進められる。
- 愛着が増す:自分で直した車には特別な愛着が生まれ、メンテナンス意識も高まる。
手動サンドペーパーでも大丈夫?
「電動サンダーがないと無理では?」と思う方もいるでしょう。しかし、手動のサンドペーパーだけでも十分対応可能です。時間はかかりますが、細かい部分の調整が効き、削りすぎの失敗も少なくなります。初めてのDIY錆補修では、手動で慣れてから必要に応じて電動工具を導入するのがおすすめです。
まとめ
この章では、リアフェンダーが錆びる原因や放置によるリスク、DIY補修のメリット、手動サンドペーパーでも可能な理由を解説しました。錆は見た目だけでなく車体の寿命や安全性に関わるため、早めに対処することが重要です。次章では、実際の錆補修に必要な道具と準備を詳しく紹介します。