「SOAP記録、なんとなくわかってるけど…書こうとすると手が止まる。」
そんなふうに感じたこと、ありませんか?
新人ナースの頃、あるいは現場復帰したばかりのとき、「正しく書けているのか不安」「評価されるのが怖い」といった気持ちになるのは自然なことです。
特にSOAP形式の看護記録では、次のような悩みがよく聞かれます:
- ✔ SとOの違いが曖昧で、どっちに書けばいいかわからない
- ✔ Aのアセスメントって“正解”があるの?自分の考えでいいの?
- ✔ Pには「何を書くのか」いつも迷ってしまう
実際、SOAP記録は「なんとなく知っている」レベルでは書けるようになりません。
それでも大丈夫。「型とコツ」を押さえれば、誰でもスムーズに書けるようになります。
この記事では、SOAP記録を苦手に感じているあなたに向けて、基本構造からテンプレート、そして現場で役立つ具体例をたっぷりと紹介します。
🌱 現場で「伝わる記録」を書けるようになりたい方へ。
今日からSOAP記録に迷わない自分を目指しましょう。
SOAPとは?|看護記録の基本構造をマスターしよう
SOAPとは、看護記録やカルテ記載で広く使われている情報整理のフォーマットの一つで、「S・O・A・P」の頭文字から構成されています。
それぞれの意味は以下のとおりです:
- S(Subjective data/主観的情報)
- 患者さん自身の言葉で語られる訴えや気持ち。不安・不快・希望なども含みます。
- O(Objective data/客観的情報)
- 看護師が観察・測定・記録した事実。バイタル・表情・処置後の状態など。
- A(Assessment/アセスメント)
- SとOから導き出される看護師としての考察・評価。問題点やリスクもここに記載します。
- P(Plan/計画)
- 今後行うケアや観察項目、医師や他職種との連携方針などの具体的な対応策。
このSOAP構造を理解することは、単に「記録を書く」ことだけでなく、チームで患者情報を正確に共有するためにも非常に重要です。
たとえば、申し送り時にSOAPがしっかり書けていれば、看護師同士だけでなく、リハビリスタッフや主治医との連携もスムーズになります。
💡POINT:SOAPは「箇条書きのようでいて、情報の流れを意識する構造」。順番に記録することで、患者の状態変化や看護の狙いが明確に伝わります。
現場で役立つ!SOAP記録の実例3選
ここでは、実際の看護場面でよく遭遇する3つのケースを取り上げ、SOAP記録の具体的な書き方を紹介します。
記録に迷ったときの参考にしてください。
【ケース①】「最近、食欲がなくて…」
- S:「最近、食事が全然入らなくて…」と話される。以前より食べる量が減ったことを本人も気にしている。
- O:昼食摂取量2割程度。1週間で体重48.5kg→46.8kgへ減少。表情に覇気がなく、会話も少なめ。
- A:食欲不振が続いており、低栄養のリスクが高まっている。精神的要因の影響も否定できない。
- P:体重と摂取量の変化を経過観察。栄養士と連携し、補助食品の導入を検討。食事に関する不安やストレスについても声かけを継続。
【ケース②】「動くと息が苦しいです」
- S:「少し歩いただけで息が苦しくなるんです」と訴える。
- O:安静時SpO₂ 96%、歩行後92%、呼吸数24回/分。努力呼吸あり、歩行距離が短くなっている。
- A:労作時の呼吸困難が見られ、心肺機能の低下および体力の衰えが要因と考えられる。転倒リスクも上昇している。
- P:活動量に応じて呼吸状態を観察。必要に応じて主治医に報告。リハビリ計画の見直しを検討。
【ケース③】「夜、あまり眠れないんです」
- S:「夜中に何度も目が覚めてしまって、朝まで眠れない」と訴える。
- O:深夜のナースコール3回。入眠後も1〜2時間で覚醒あり。翌朝、やや倦怠感を訴える。
- A:睡眠の質が低下しており、日中の活動量や精神状態に影響が出ている可能性がある。睡眠環境の調整と心理的サポートが必要。
- P:睡眠状況の詳細を経過観察。照明や騒音の環境調整を実施。必要に応じて医師へ相談し、睡眠導入の指示を仰ぐ。
上記のように、SOAPの構造に沿って情報を分類・整理することで、誰が読んでも状況が理解しやすくなり、適切な判断や連携がとりやすくなります。
迷ったらこれ!SOAP記録テンプレートと書き方のヒント
「この場面、どう書けばいいの?」と迷ったときに役立つのが、テンプレート(書き方の型)です。
以下に、どんな場面でも応用しやすい基本形をまとめました。
- S:「〇〇」と話す/〇〇について不安を表出/〇〇に関する希望を述べる
- O:バイタル(血圧・脈拍・SpO₂など)、表情、行動、検査値、処置後の反応
- A:情報を統合して評価。何が起きているのか、どんなリスクがあるのかを簡潔に述べる
- P:観察項目、声かけ、ケア内容、報告対象、次回の対応など
📌 メモ:
このテンプレは、スマホのメモアプリやメモ帳に保存しておくと便利です。
現場で「どう書けばいいか分からない」とき、すぐに見返して記録に役立てましょう。
テンプレートを活かすコツ
ただ「型に当てはめる」だけでは不十分です。
SOAP記録を“伝わる記録”にするために、以下のポイントも意識しましょう。
- ● Sは「その人らしさ」が伝わる言葉を抜き出す
- ● Oは「事実ベース」で、数字や所見を入れる
- ● Aは「なぜそう判断したか」の根拠を簡潔に
- ● Pは「次に何をするか」具体的な行動に落とし込む
🌟 小さなコツが、大きな自信になる。
テンプレをベースに、自分の言葉で“伝わる記録”を目指しましょう!
これ注意!よくあるSOAP記録のNG例と改善ポイント
SOAP記録は慣れていないと「なんとなく書いてしまう」ことが多く、以下のような失敗例がよく見られます。
📌 失敗例①:SとOがごちゃまぜ
- S:「今日は体調が良くない気がする。朝からぼーっとする」
- O:「顔色が悪く見える。血圧も低め」と記載
→改善:Sは「患者本人の言葉」のみに絞り、Oは看護師が“見た・測った・触れた”事実に限定しましょう。
📌 失敗例②:Aが感想文になっている
「少し元気がなさそうだと思ったので、疲れているかもしれない」と曖昧な記述。
→改善:Aは「判断・評価の根拠」を明確に。
「朝から摂食量が低下し、活気もないため、倦怠感が強いと考えられる」といった形にすると◎。
📌 失敗例③:Pが“観察します”だけ
「継続的に観察していきます」のみで終わっているケース。
→改善:「何をどう観察するか」「誰に共有するか」「いつ再評価するか」など、具体的なアクションを記載しましょう。
🔑 まとめ:ミスは誰にでもある。でも「意識して直す」だけで記録は見違える
SOAP記録のNG例を知ることは、自分の記録を客観的に見直すチャンスです。
完璧を目指さなくてもいい。でも、読み手に伝わる記録を意識することで、あなたの記録は「共有される記録」→「信頼される記録」へと進化します。
まとめ|SOAP記録は「型」と「視点」が整えば怖くない
SOAP記録は、誰かに見せるための“評価される記録”ではなく、患者さんの声をチームで共有する大切なツールです。
最初は戸惑って当たり前。
でも、今回紹介したように「S・O・A・Pの構造を理解する」「テンプレを使って慣れる」「実例から学ぶ」ことで、記録は必ず上達します。
- ✔ 主観と客観の違いを理解する
- ✔ アセスメントは根拠と考察を明記
- ✔ プランは“具体的な行動”まで落とし込む
あなたの記録は、誰かの看護を助ける力になります。
そして、あなた自身の成長の証にもなります。
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日々の業務に追われながらも、
「もっと良い記録を残したい」と感じているあなたは、すでに素晴らしい看護師です。
焦らなくて大丈夫。まずは“伝えるための記録”を意識して、小さな一歩から始めましょう。
あなたの明日の記録が、今日より少しだけスムーズになりますように。