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看護師が教える!むくみが取れない7つの原因と今すぐできるケア方法

看護師が教える!むくみが取れない7つの原因と今すぐできるケア方法

「朝起きたら顔がパンパン」「夕方になると靴がきつい」「指輪が抜けなくなった」…そんな経験ありませんか?
私は総合病院の循環器病棟で働く看護師ですが、外来でも入院患者さんでも「むくみが取れない」という相談は本当に多いんです。

実は、むくみって単なる疲れだけじゃないんです。体からの重要なサインで、放置すると危険な場合もあります。
この記事では、看護師として現場で学んだ「むくみが取れない本当の原因」と「病院で実際に指導しているケア方法」を、すべてお伝えします。

注意:この内容は医療行為の推奨ではありません。症状が続く場合や悪化する場合は、必ず医療機関を受診してください。

むくみってそもそも何?看護師が簡単に解説

むくみ(浮腫)とは、体の組織に余分な水分が溜まった状態のことです。
医学的には「浮腫(ふしゅ)」と呼ばれ、血液中の水分が血管の外に染み出して、皮膚の下に溜まることで起こります。

すねを押してセルフチェック!

むくみがあるか簡単にチェックできる方法があります。
すねの骨のすぐ内側を、親指で5秒ほどギュッと押してみてください。

  • 指を離してすぐ戻る:むくみは軽度または正常範囲内
  • へこみが10秒以上残る:むくみがある可能性が高い
  • へこみが30秒以上残る:かなり強いむくみ、医療機関への相談を推奨

病棟で患者さんの浮腫を評価するときも、この「圧痕(あっこん)」という方法を使います。
へこみが残る時間が長いほど、むくみが強いということなんです。

夜勤明けの足のむくみ、靴下の跡がくっきり残って消えないんですよね...

むくみが取れない7つの原因【看護師の視点から徹底解説】

むくみには様々な原因があります。
看護現場でよく遭遇する「むくみが取れない原因」を、実際のエピソードを交えて解説します。

①長時間の同じ姿勢(立ちっぱなし・座りっぱなし)

これが最も多い原因です。
重力の影響で、水分が下半身に溜まり、特に足がむくみます。

【なぜ起こる?】
ふくらはぎの筋肉は「第二の心臓」と呼ばれ、血液を心臓に押し戻すポンプの役割をしています。
動かないとこのポンプが働かず、血液やリンパ液が足に溜まってしまうんです。

看護師も立ち仕事が多いので、夜勤が終わる頃には足がパンパン。
デスクワークの方も、座りっぱなしで同じようにむくみやすいんですよ。

②塩分の取りすぎ

ラーメン、お菓子、外食、加工食品...塩分が多い食事を続けると、むくみが取れにくくなります。

【なぜ起こる?】
体内の塩分(ナトリウム)濃度が上がると、体はバランスを取るために水分を溜め込もうとします。
結果として、血管から水分が染み出して、むくみになるわけです。

心不全や腎臓病の患者さんには、厳しい塩分制限(1日6g未満)を指導します。
病院食が薄味なのは、この塩分コントロールのためなんです。

③運動不足・筋力低下

筋肉量が少ないと、血液を心臓に戻す力が弱くなります。
特にふくらはぎの筋力低下は、むくみの大きな原因です。

高齢の患者さんでむくみを訴える方は、ふくらはぎの筋肉がかなり落ちていることが多いです。
若い方でも、リモートワークで運動習慣がないと、同じことが起こります。

看護師のワンポイントアドバイス

寝たきりの患者さんは、数日で筋力が落ちてむくみやすくなります。「動かないこと」がいかにリスクか、現場で痛感しています。

④ホルモンバランスの乱れ(女性特有)

生理前や妊娠中は、女性ホルモンの影響でむくみやすくなります。
特に生理前1週間は、プロゲステロンというホルモンが水分を溜め込みます。

産科病棟にいたとき、妊婦さんのむくみチェックは毎日の重要な観察項目でした。
妊娠後期は特にむくみやすく、妊娠高血圧症候群のリスクもあるため注意が必要です。

⑤アルコールの飲みすぎ

「お酒を飲んだ翌朝、顔がむくむ」という経験、ありますよね?
アルコールは血管を拡張させ、水分が血管の外に漏れやすくなります。

さらに、お酒のおつまみは塩分が多いものが多いので、むくみが悪化します。
病棟でアルコール性肝硬変の患者さんを見ると、全身に強いむくみ(浮腫)や腹水が見られます。

⑥薬の副作用

意外と知られていませんが、薬の副作用でむくむことがあります。

【むくみやすい薬】

  • 降圧薬(カルシウム拮抗薬)
  • ステロイド
  • 非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)
  • 糖尿病の薬(一部)
  • 抗うつ薬

薬を飲み始めてからむくみが気になり始めた場合は、自己判断で中止せず、必ず医師や薬剤師に相談してください。

⑦病気のサイン(心臓・腎臓・肝臓・甲状腺)

これが最も注意すべきポイントです。
むくみが数日続く、全身がむくむ、息苦しさがある場合は、病気が隠れている可能性があります。

病気の種類 むくみの特徴 その他の症状
心不全 足のむくみ、夕方に悪化 息切れ、動悸、体重増加、横になると苦しい
腎臓病 顔や目の周りのむくみ、朝に目立つ 尿の泡立ち、尿量減少、血尿
肝臓病(肝硬変) お腹の張り(腹水)、全身のむくみ 黄疸、倦怠感、食欲不振
甲状腺機能低下症 全身のむくみ、押しても戻らない 寒がり、疲れやすい、体重増加
深部静脈血栓症 片足だけ急にむくむ 痛み、熱感、皮膚の色が変わる

【こんな症状があったらすぐ病院へ!】

  • 急に片足だけむくんで痛みや熱感がある
  • 息苦しさ、動悸、胸の痛みがある
  • 尿の量が急に減った、色がおかしい
  • 体重が1週間で2kg以上増えた
  • むくみが何週間も続いている
  • 横になると呼吸が苦しい

循環器病棟では、心不全の患者さんの体重を毎日測定します。
急な体重増加(1日で1kg以上)は、体内に水分が溜まっている危険なサインだからです。

「ちょっとむくんでるだけ」と思っていた患者さんが、実は心不全だったケース、本当に多いんです

看護師が実践&指導してる!むくみ解消ケア8選

ここからは、私が実際に患者さんに指導している方法や、自分でも実践しているむくみ対策を紹介します。
今日から取り入れられる簡単な方法ばかりなので、ぜひ試してみてください!

①足を心臓より高くして寝る

これは即効性があります!
就寝時、足の下にクッションや折りたたんだバスタオルを置いて、心臓より15〜20cmほど高くしましょう。

重力に逆らって血液が心臓に戻りやすくなり、朝のむくみが驚くほど軽減します。
夜勤明けで足がパンパンのときは、帰ってすぐこの姿勢で30分ほど横になると、かなり楽になりますよ。

②ふくらはぎマッサージ&リンパドレナージュ

足首から膝に向かって、下から上に押し上げるようにマッサージします。
リンパ液や血液を心臓に戻すイメージで、優しく流してあげましょう。

【効果的なやり方】

  1. 両手で足首を包むように握る
  2. そのまま膝に向かって、ゆっくり押し上げる(力は中程度)
  3. 膝の裏のくぼみを優しく押す(リンパ節があります)
  4. 左右それぞれ10回ずつ繰り返す
  5. お風呂上がりやボディクリームを塗るときにやると効果的

病棟でも、術後やリハビリ中の患者さんに、看護師がふくらはぎマッサージを行います。
血流改善だけでなく、血栓予防にも効果があるんです。

③医療用着圧ソックスを活用

医療用の弾性ストッキングと同じ原理で、足に段階的な圧をかけて血液の流れをサポートします。

ただし、選び方と使い方には注意が必要です。

  • 初めての方は軽い圧(15-20mmHg)から試す
  • 朝、むくむ前に履く
  • 寝るときは脱ぐ(寝るとき用は別タイプ)
  • 下肢に動脈疾患がある方は使用前に医師に相談

看護師のワンポイントアドバイス

長時間フライトやデスクワークのときは、着圧ソックスが本当に助かります。夜勤の日も必ず履いてますよ!

④カリウムを意識的に摂る

カリウムは、体内の余分なナトリウム(塩分)を排出する働きがあります。
むくみ予防には欠かせない栄養素です。

【カリウムが豊富な食材】

  • バナナ、キウイ、アボカド、メロン
  • ほうれん草、小松菜、ブロッコリー
  • じゃがいも、さつまいも、里芋
  • わかめ、昆布、ひじき
  • 納豆、豆腐、枝豆

ただし、腎臓に疾患がある方はカリウム制限が必要な場合があります。
持病がある方は、必ず医師や管理栄養士に相談してくださいね。

⑤減塩を意識する工夫

「薄味は物足りない...」という方も多いですよね。
でも、ちょっとした工夫で無理なく減塩できます。

【看護師が患者さんに教えてる減塩テク】

  • 醤油は「かける」より「つける」(使用量が1/3に)
  • 香辛料、レモン、酢、柚子胡椒で味にアクセント
  • だしをしっかり取って旨味で満足感を
  • 加工食品(ハム、ちくわ、漬物)を控える
  • 外食は週1〜2回に抑える
  • ラーメンのスープは残す(これだけで塩分5g減)

栄養指導では「ゼロにしなくていい、今より少し減らす」ことを目標にしています。
1日の塩分摂取量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満が目安です。

⑥こまめに動く・ストレッチ習慣

デスクワークの方は、1時間に1回は立ち上がって動く習慣をつけましょう。
トイレに行く、水を飲みに行くだけでもOKです。

【座ったままできる簡単ストレッチ】

  1. つま先を上げ下げ(かかとは床につけたまま)×20回
  2. かかとを上げ下げ(つま先は床につけたまま)×20回
  3. 足首をゆっくり回す(左右各10回)
  4. 膝を伸ばして5秒キープ(左右5回ずつ)

長時間の手術や処置があるときは、看護師同士でも「休憩室で足上げよう」と声をかけ合っています。
立ち仕事でもデスクワークでも、「動かないこと」がむくみの最大の敵なんです。

⑦水分は適量を意識的に摂る

「むくむから水分を控える」は実は逆効果です。
水分が不足すると、体が「水分を失いたくない」と判断して、かえって溜め込もうとします。

1日の水分摂取目安:1.5〜2リットル(食事からの水分も含む)
ただし、心臓や腎臓に疾患がある方は、医師の指示に従ってください。

夏場や運動後は、こまめに水分補給することが大切です。
コーヒーやお茶には利尿作用があるので、水や麦茶を中心に飲むのがおすすめですよ。

⑧入浴で血行促進

シャワーだけで済ませず、38〜40度のぬるめのお湯に15〜20分ゆっくり浸かりましょう。
血行が良くなり、むくみ解消に効果的です。

さらに効果を高めるなら、入浴剤(炭酸系や温浴効果のあるもの)を使うのもおすすめ。
お風呂上がりにマッサージをすると、より効果的ですよ。

こんなときは要注意!病院を受診すべきむくみのサイン

むくみの多くは生活習慣の改善で良くなりますが、病気が隠れている場合もあります。
以下のようなケースでは、必ず医療機関を受診してください。

  • 片足だけ急にむくんで痛みがある(深部静脈血栓症の可能性)
  • 息苦しさや動悸がある(心不全の可能性)
  • 尿の量が減った、色がおかしい(腎臓病の可能性)
  • 急に体重が増えた(1週間で2kg以上)
  • むくみが何週間も続いている
  • お腹が張ってきた(腹水の可能性)
  • 顔や全身がむくむ(腎臓や甲状腺の問題)

病棟で働いていると、「最初は足のむくみだけだったのに、実は心不全だった」という患者さんに出会うことがあります。
早めに気づいて対処すれば、重症化を防げます。

「たかがむくみ」と思わず、体からのサインを見逃さないでくださいね

むくみと上手に付き合うために【看護師からのメッセージ】

むくみは、多くの人が経験する身近な症状です。
でも、体からの「ちょっと助けて」のサインでもあります。

看護師として多くの患者さんを見てきて感じるのは、「早めの気づきと対応」の大切さです。
日常生活でできるケアを続けながら、少しでも「いつもと違う」と感じたら、遠慮せず病院に相談してください。

特に、高齢の方や持病がある方は、むくみが病気のサインであることが多いです。
家族や身近な人のむくみにも、ぜひ気を配ってあげてくださいね。

まとめ:むくみが取れないときは原因を見極めてケアを

むくみが取れない原因は、生活習慣から病気のサインまで様々です。

【この記事の重要ポイント】

  • むくみの多くは長時間の同じ姿勢、塩分過多、運動不足が原因
  • 足を高くする、マッサージ、着圧ソックスで改善できる
  • カリウム摂取と減塩を意識する
  • 水分不足もむくみの原因になるので適量を摂る
  • 数日続く、息苦しいなどの症状があれば必ず受診を

まずは今日から、できることを1つずつ試してみてください。
足を高くして寝るだけでも、翌朝の足の軽さが全然違いますよ。

無理せず、自分の体と向き合いながら、快適な毎日を過ごしましょう。
あなたのむくみが少しでも楽になることを、心から願っています!

この記事について
この記事は、看護師として循環器病棟や内科外来で学んだ医学的知識と、実際の患者指導経験をもとに執筆しています。ただし、個人の経験に基づく情報であり、医療行為や診断の代わりにはなりません。症状が続く場合や悪化する場合は、必ず医療機関を受診してください。

 

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