訪問看護の裏側

訪問看護師の1日ルーティンを公開|スケジュール・やりがい・両立の工夫も紹介

訪問看護師ってどんな仕事?

訪問看護の基本的な役割とは

在宅療養を希望する利用者さんのもとへ出向き、看護サービスを提供するのが訪問看護師の仕事です。病気や障がいを抱える人たちが、住み慣れた場所で安心して暮らせるように、医療的なサポートや生活の支援を行います。

訪問看護では、バイタルチェック・服薬管理・点滴・褥瘡の処置など、医師の指示に基づいた医療行為を行いますが、それだけではありません。利用者さんやご家族の話をじっくり聞いたり、日常生活の困りごとを一緒に考えたりすることも多く、「人と人」としての関わりを大切にする場面が多いです。

病院勤務との違い

病院のようにスタッフがすぐ隣にいる環境ではないため、訪問中は基本的にひとりで判断・対応する必要があります。一方で、時間に追われる病棟と違って、利用者さん1人にじっくり向き合えるのが大きな魅力でもあります。「医療」だけでなく、「暮らし」そのものを支える看護にやりがいを感じる人も多いです。

訪問看護師のリアルな1日ルーティン

出勤〜朝の準備(移動・予定確認)

朝は8:30頃に事業所へ出勤。まずはその日のスケジュールと訪問ルートを確認します。必要な医療物品や書類を用意し、会社の車や電動自転車で出発します。

午前の訪問(2〜3件)

午前中は2〜3件の訪問が基本。バイタルチェック、清拭、点滴、ストーマ管理など、利用者さん一人ひとりに合わせたケアを行います。1件あたり30〜60分の訪問で、コミュニケーションも重要な仕事のひとつです。

お昼休憩と移動時間

お昼は事業所に戻る日もあれば、車の中で休憩をとることも。休めるタイミングで休み、効率的に動くのが訪問看護の基本です。冬場は麹入りスープなどの温かい手作りランチが定番です。

午後の訪問(2〜3件)

午後も2〜3件訪問します。急な状態変化や報告対応が必要なケースもあり、予定が押すこともあります。時間管理と優先順位の判断が求められます。

帰社・記録・報告・退勤

訪問が終わったら事業所に戻り、電子カルテへの記録や報告業務を行います。1日の振り返りをしながら、次の訪問準備も同時に進めていきます。

訪問看護ならではのやりがい・大変さ

「寄り添うケア」ができる喜び

利用者さんやご家族と深い信頼関係を築けることが、訪問看護の魅力です。「あなたが来てくれて嬉しい」と言ってもらえる瞬間に、看護師としてのやりがいを強く感じます。

体力・天候・移動の大変さもリアル

北海道の冬は雪道での運転がプレッシャー。移動距離が長く、気温や天候の影響も受けるため、体力的な負担は想像以上です。1日中集中力を保つ必要があります。

家庭と仕事を両立するための工夫

スケジュール管理のコツ

完璧を目指さず、1日をどう終わらせるかを意識することが大切。訪問の合間に記録をこまめに入力したり、スタッフ同士で「お互い様」の気持ちを持つことも大きな助けになります。

子育てと仕事のバランスをどうとってるか

作り置きのおかずや冷凍ごはんを活用して、夜の負担を減らしています。休日はあえて何もしない“休む日”を作ることで、心も体もリセット。できないことより、できたことに目を向ける工夫をしています。

訪問看護でよくある困りごととその対処法

急なスケジュール変更が日常茶飯事

訪問看護では、予定していたルートや時間が突然変わることも少なくありません。体調不良によるキャンセルや、医師からの急な指示変更などがあると、スケジュール全体が大きくずれ込むこともあります。

そういうときこそ、「柔軟に切り替える力」が必要。私は訪問の合間にこまめに情報共有をしながら、「この利用者さんは急ぎで訪問しなくても大丈夫そう」「先にこの処置を優先しよう」と、もちろん利用者さんの了承を得てからの訪問やケアですが自分で動きやすいように整理して対応しています。

ご家族との関係づくりが難しいときも

利用者さん本人との関係は良好でも、ご家族が不安や不満を抱えているケースもあります。「このケアで本当に大丈夫なの?」「もっと頻繁に来てほしい」といった声がプレッシャーに感じることも。

私はまず、ご家族の「想い」に寄り添う姿勢を大切にしています。話をしっかり聞いて、なるべく専門用語を使わずに説明し、「一緒に考えていきましょう」というスタンスで接するようにしています。

私が訪問看護で大事にしていること

「その人らしさ」を尊重したケア

私が訪問看護でいつも意識しているのは、「その人の暮らしに合わせた看護」を提供すること。自宅という“生活の場”におじゃましているからこそ、その人のペースや価値観を大事にしています。

例えば、同じケアでも「午前中の方が落ち着いてる」「家族がいる時間帯を避けてほしい」といった希望がある場合は、可能な限り対応するようにしています。「医療」ではなく「生活の延長にあるサポート」という意識が、訪問看護には必要だと思っています。

無理をしすぎない。自分の心も守る

訪問看護師は一人で判断する場面が多く、プレッシャーも大きい仕事です。だからこそ私は、「自分の心と体のコンディション」も大切にしています。

調子が悪い日は、いつもより少しゆっくり話す。しんどい日は、深呼吸を多めに。そうやって「自分に優しくする余白」を作るようにしています。利用者さんのケアをするには、まず自分が元気でいなきゃね。

まとめ:訪問看護の働き方は「自分らしく、やりがいを感じたい人」に最適

訪問看護には、病棟とはまったく違う大変さもあります。
でもそれ以上に、「その人らしく生きる」ことを支えられるやりがいがある仕事です。

「もっと人と関わりたい」「家族との時間も大事にしたい」
そんな私には、病院よりも訪問看護が合っていました。

忙しさに追われず、自分のペースで看護と向き合いたい人には、訪問看護という働き方がぴったりです。

これから転職を考えている方や、少しでも在宅医療に興味がある方の参考になれば嬉しいです。

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